英霊の絶叫―玉砕島アンガウル戦記 (光人社NF文庫)

もともとペリリュー戦の戦記をいくつか読んでいるのと、この書の作者が「ゴールデンカムイ 1 (ヤングジャンプコミックス)」の「不死身の杉元」のモデル（かもしれない？）というネット上での噂をきっかけに読んでみました。「不死身の分隊長」と言われる所以のエピソードを読み、世の中には人並はずれて強い体と精神、米兵をもひきつけるバイタリティをもってうまれた人がいるものだと驚きました。著者は剣道や柔剣道に加え、擲弾筒隊の名手だったそうで、擲弾筒を使った戦いの部分は興味深く読ませていただきました。かなりの死闘を経験されていますが、文章は「あっぱれな戦い」的なトーンで軽やかに進んでいきます。アウンガル島の戦闘体験を米軍上陸の防御から反撃、壕内潜伏まで具体的に残した数少ない貴重な書と思います。著者は慰霊活動や他の戦記記録にもかなり尽力された様で、意義ある活動をされた方と思いました。